手術の後のこと

人工肛門を閉鎖した後の3ヶ月は自然排便がうまく行かず、1日のトイレ回数が多いときには30~40回に上ったが、今は1日4~5回で日常生活に支障はない

インタビュー01
診断時:49歳  インタビュー時:59歳(2010年8月)
首都圏在住の会社員。妻と二人の子供がいる。2000年夏、海外出張先で大量下血し、帰国後潰瘍性大腸炎と診断される。7週間入院してプレドニン大量投与と輸血で恢復するも、翌年6月に再燃。再びプレドニンの大量投与で退院できたが、またいつ再燃するかわからないと思い手術を決意。大腸全摘と一時的な人工肛門造設、Jパウチの造設、人工肛門閉鎖と3回に分けて手術を受けた。3回目の術後、自然排泄がうまくできるようになるまでの3ヵ月間は大変苦しい思いをしたが、現在はほぼ完治している。
 3回目の手術で直腸と繋いで自然排泄ができるようになったのですが、この後ちょっと苦しい時がありました。それは便がうまく出ないということなんです。どういう構造になっているのかよくわかりませんが、とにかく便が出そうな感覚はあるのですが、トイレに行ってもなかなかすっと出ないんですね。ちょっとしか出ないんです。それでトイレから戻ってくるとまた行きたくなるんです。それで我慢しているとちょっと漏れてしまう。ですからトイレの回数としては1日に30回、40回という回数ですから、ほとんどもうトイレから5-6メートルくらいしか離れられないという状況でした。そういう状況が3カ月くらい続きましたかね。勿論その間に病院に行って検査してもらったり、肛門括約筋のトレーニングをしたりとか、鍼灸の先生のところで鍼を打ってもらったりもしました。そうやっていろんなことをしましたが結局は時間ですかね。時間の経過とともに徐々に便の回数も減ってきましたし、便がわりとすっと出るようになってきて、そうですね退院してから3-4カ月くらいで職場に完全復帰することができました。その時で便の回数は1日10回くらいでしたね。ですから会社での仕事も、私は内勤でしたから、それほど支障はない状況でした。それでその10回というのもだんだん減ってきて、今は1日4回から5回くらいですね。もうこれ以上は少なくならないでしょうけれど、それでも多少調子のいい時と悪い時というのはありますが、もう慣れてきたので普通の日常生活ではほとんど支障はありません。特に会社に行っている時などは、朝トイレに行って、お昼を食べてから行って、夕方行って、というような形でルーティーンのなかにはいっていますのでそれほど支障はないです。ただ、旅行に行ったりとか普段と違う動きをするときはちょっと気を使って、ここでトイレに行っとかないといけないなとか、あの辺にはトイレがあったかなとかいうようなことは考えています。

インタビュー01:プロフィール
徴候と診断
海外出張中に風邪のような症状から突然の大量下血があり、帰国後潰瘍性大腸炎の診断を受けた
治療法の選択
最初に発症した時も再燃した時も大量下血で始まり、 ステロイドを大量投与したので、そんなことを繰り返すわけには いかない、と手術を決意した
手術の後のこと
人工肛門を閉鎖した後の3ヶ月は自然排便がうまく行かず、 1日のトイレ回数が多いときには30~40回に上ったが、 今は1日4~5回で日常生活に支障はない
周囲の人との関係
24時間便意を抱えている辛さは周りの人に理解してもらいにくく、家族もどうしたらいいかわからず悪循環に陥りがちだが、努力して対話をすることで楽になれると思う
手術について
1回目で大腸を摘出し人工肛門を作り、2回目では小腸を使ってJパウチを作成し、3回目で人工肛門を閉じて直腸と繋ぎ自然排泄ができるようになった
病気をして自分が変わったこと
病気は確かに辛かったけれどその後の事を考えると、プラスマイナス、若干プラスかもしれない